世界各国の国家緊急権
ドイツ憲法系統に見られる緊急命令や緊急財政処分等の制度がある。欧米先進国では非常事態における緊急権のカテゴリーとしては前項に示した3つのカテゴリーのうち2のケースに該当する国が多く見られる。フランスの合囲状態 、ドイツの戒厳(独語:Belagerungszustand)、或いはワイマール憲法の大統領独裁権の規定などがこれに該当する。ただし、現在のドイツではどのような事態においても政府の措置は立法・司法のコントロールを受けることになっている。 日本においては大日本国憲法における非常大権もこれに含まれよう。
イギリスやアメリカの法体系いわゆる英米法は、ヨーロッパ大陸の法体系いわゆる大陸法と違う法体系である(日本は大陸法の法体系である)。イギリスでは成文憲法はなく、緊急時の対応もコモン・ロー(慣習法)に従う。アメリカ合衆国においては有事に際しても「憲法を停止する」という考え方はなく、有事における大統領の権限の行使も司法の審査の対象となる。
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また、日本においては「憲法の停止・制限」の規定は憲法にない。このため、有事のための法令を制定するにしても、憲法の枠組みの範囲内で法令を制定することになる。
まとめると、軍備・交戦権を認めている憲法を持つ諸外国においては「国家緊急権」の概念の必要性は見られない。「国家緊急権」の概念が必要とされるのはクーデターの正当化のためくらいである。日本においては、戦争放棄の条文を不満とする人々の改憲の根拠として「国家緊急権」が使われている。